CD
2018/12/22 両国門天ホール公演時プリパレーション
〈2枚組〉
CD1
ジョン・ケージ
プリペアド・ピアノのための《ソナタとインターリュード》全20曲(69分)
CD2
モートン・フェルドマン
《バニータ・マーカスのために》
(75分・豊洲シビックセンター公演ライブ録音)
¥3,000
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CD1
チェンバリスト横山が、ヒストリカルアプローチで再構築した20世紀の古典音楽《ソナタとインターリュード》(1948)。1975年、高橋悠治のセンセーショナルな録音以来、日本人の全曲収録は2人目となる。
「正しいプリパレーション」によって得られた、このプリペアド・ピアノの音は、エキゾティシズムの中に気高さをそなえている。綿密に計算されたボルトやネジによって生み出される音色は、ダンパーペダルを踏み続けることで無限に折り重なり・・私たちのピアノという楽器の理解は強く揺さぶられる。
これはピアノではない。
“良く調律された” 打楽器アンサンブルだ。
《ソナタとインターリュード》よりソナタ第12番
CD2
20世紀ピアノ音楽最大の傑作、フェルドマンの《バニータ・マーカスのために》(1985)。演奏時間70分を超えるこの静寂の作品で、横山はリズミカルに耳を遊ばせる。曖昧にゆれるフェルドマネスクとは無縁の問題作。
《バニータ・マーカスのために》から(2020/1/11豊洲シビックセンターライブ録音)
マーク・ロスコに代表される抽象表現主義絵画のよう、静かに空間を染める音楽が、そのフレームに、折り目正しく収められていく。
かつてストラヴィンスキーの音楽に触発されたフェルドマン。バレエ音楽《バニータ・マーカスのために》を提示した2020年豊洲シビックセンターホールでの歴史的ライブ録音。
「カノンの作曲家」本当の自信作
横山博:パイプオルガン
¥1,800
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パッヘルベル《アポロンの6弦琴》より第1曲
ポピュラーな名曲《パッヘルベルのカノン》の作曲家ヨハン・パッヘルベル(1653-1706)は、バロック中期のドイツ・オルガン音楽における重要な存在で、J. S. バッハにも大きな影響を及ぼした人です。彼は数多くのすぐれた鍵盤楽曲を残していますが、とくに変奏曲を得意とし、コラール変奏曲のほか、世俗的な旋律による変奏曲も作曲しています。《アポロンの六弦琴》は後者の例で、6曲のアリアと変奏からなる曲集です。6曲全部が演奏される機会はあまりありませんが、パッヘルベルの熟練した変奏技法を示す傑作で、隠れた名曲といえます。
パッヘルベルは南ドイツのニュルンベルクに生まれ、アイゼナハ、エルフルト、シュトゥットガルト、ゴータでオルガニストとして活躍した後、1695年からは故郷ニュルンベルクの聖ゼーバルト教会オルガニストを務めました。《アポロンの六弦琴》(1699年出版)が作曲された頃には、オルガニスト、作曲家、教師としてのパッヘルベルの名声は確固としたものになっており、この作品には、自分の自信作を世に示し、弟子たちの教育に役立てようというパッヘルベルの意図がうかがえます。またこの曲集には長い序文が付いており、彼と同時代の二人の作曲家に献呈されています。一人は南ドイツを代表するウィーンのフェルディナント・トービアス・リヒター(1651-1711)、もう一人は北ドイツを代表するリューベックのディートリヒ・ブクステフーデ(1637頃-1707)です。ブクステフーデはバッハにも大きな影響を与えた作曲家です。パッヘルベルはこの二人を高く評価し、南ドイツと北ドイツの様式の融合を目指しています。
パッヘルベルの音楽の伝統はバッハにも受け継がれています。アイゼナハ時代にパッヘルベルはバッハの父ヨハン・アンブロージウスと親交を結び、エルフルトではバッハの長兄ヨハン・クリストフがパッヘルベルに師事しています。10歳でバッハが両親を亡くした後、彼を引き取ったのがこの長兄であり、バッハは兄を通してパッヘルベルの音楽を幅広く知り、多くを学び取りました。バッハに至る音楽の流れを考えると、パッヘルベルの音楽には、まだまだ発見すべき魅力が隠されていることがわかります。
《アポロンの六弦琴》はチェンバロでも演奏できますが、今回は横山博氏のオルガンで、全6曲が演奏されます。変奏曲は、全体が一つの主題に基づく統一感の中で、多様な変化を楽しむことができます。音楽の神アポロンの竪琴から奏でられる素晴らしい音楽のように、親密な空間で奏でられるオルガンの美しい響きは、私たちを至福の世界に導いてくれることでしょう。
尾山真弓(音楽学・洗足学園音楽大学講師)